千里の道も一歩から

コラム2019.10.31

  近年急速に販売量を増加させているカロリーゼロ、カロリーオフ食品ですが、こういった食品に含まれる人工甘味料が、肥満や糖尿病の原因になる可能性があることが最近の研究で明らかになっています。カロリーゼロという表示を見ると、何となく安心して食べてしまいがちですが、その行動が逆に肥満を助長させるというのですから驚きです。

 

 そもそも人工甘味料は、「糖分摂取制限の必要な人のみ使用」とされていました。ところが昨今のように人工甘味料が急速に普及してきたため、メタボ予防といった世の風潮から、健康な人も含めて多くの人が手軽に摂取できるようになっているのが現状です。このため、正常な代謝機能を有する人でさえも、人間の「生理的反応」によって、いつの間にかメタボリック症候群へとつながっていくそうです。

 

 その「生理的反応」とは、食物から得られるカロリーをエネルギーに変換するというものです。ところが、人工甘味料にはカロリーがないため、エネルギーに変換できず、自然と体がエネルギーを要求するので、逆に食欲を増進させてしまうのです。また、ボストン大学の研究グループによると、人工甘味料の摂取がインスリンの分泌を上昇させるという研究結果を報告しています。つまり、血糖値の上昇がないのにインスリンの分泌によって血糖値を低下させるため、空腹感だけが残るのです。よって、人工甘味料を摂取し続けると、空腹感も増加し続け、食欲は増加することになるのです。

 

 このように、人工甘味料の継続的な摂取は、人間の「生理的反応」によって逆に食欲を増進させ、肥満になる原因を作ってしまうようです。もちろん過度の摂取という条件ではありますが、肥満対策やダイエットに人工甘味料という安易な手法を用いることのリスクをしっかりと理解しておく必要がありそうです。何事においても近道はなく、近道には様々な危険が潜んでいるということなのかもしれません。栄養士によると、朝昼晩と規則正しい食事を摂ることが、血糖値の安定に一番だそうです。規則正しい生活の積み重ねが、日々の健康を作る、何事においても言えることではないでしょうか。